彼女のブログ
わたしが転校してきた中学校に、彼女はいた。彼女はとりわけ荒俣宏的な方面の雑学が豊富で、歴史や社会や政治を語り、好きなものと興味ないものがはっきりしていて、何でもきりりと主張し、周りの女子たちとは明らかに異質だった。そして孤高に見えた。練馬の中学校のスクールカースト底辺から来たわたしには、彼女一人の存在だけで都会に来てしまったとびびったものだ。んで、あっさり憧れた。
彼女の孤高さに近づき、彼女の言葉に応え、隣にいられるのはわたしだけだと思いたかった。近づきたかった。で、実際に仲良くなって、よく二人で行動していた。あれはもう初恋だったのかもしれない。
で、まあその後別々の高校に入ってからは、それぞれで忙しく疎遠になるのですけども。
それから数年。彼女は大学生くらいのころからオンラインに自分のブログを持って発信しているのを見つけた。相変わらず、行く国も読む本もやるゲームも特異であった。うれしい。大好きだ。
で、読み続けてはや幾年。
ソーシャル的な、誰かと接触してる彼女のことは知らない。ただ、一人称で彼女が見たもの、行った場所、読んだ本などをわたしは静かに追いかけ続けてる。連絡はおろか、コメントもシェアもしない。今のわたしは、いわばファンといったところ。もしくは、元カレ追いかけてるのと近い心理かもしれない。違うかもしれない。
彼女は発信すべき自分の意見を常に持っていて、ずっとブログを書き続けてる。わたしはそういう彼女をストーキングし続けて、相変わらずだなー、かっこいいなー、好きだなーと思い続けてる。
iPhone より